「行ってきます。」 そっけなく母親にそう言ったあと、私は重いドアを開けてバス停に向かった。 季節はもう、11月になっていた。 だんだんと寒くなり、そろそろマフラーが活躍しても良いくらいの気温である。 息を吐くと、私の視界が少しだけ白く濁った。 「もう息白くなるくらいの季節か、早いな。」 そう呟いてから、私はまた歩き出す。