「なに?」 理央が振り向く。 「ご褒美は?」 「え?」 「ご褒美だよ。理央、わたしが合格したらご褒美くれるって言ったじゃん」 あぁ、そうかと理央が戻ってくる。 「まったく…自分で言っといて、自分で忘れるってバ……」 カじゃないの、は言えなかった。 理央の唇が、ふさいだせいで。