「ゆき、わたしもやめたい。もうやだ」
そして次々に声が聞こえ始めた。
「俺も。谷原、いい加減やめたら」
「もう純をいじめんの、いやだ」
「須藤とサッカーしてぇよ」
「須藤、よく言った!」
教室中がいっせいにざわめいた。
ついには友季の取り巻きたちまで「ゆき、やめよう」と言っている。
「ちょっと!みんな裏切る気!?」
友季がヒステリックに声をあげる。
翼が落ち着いた声で「谷原」とつぶやいた。
「谷原・・・お前なんか俺のこと好きだったみてぇだけど、
お前みたいないじめっ子、嫌いだから」
「そんな、つばさ・・・く・・・ん」
友季がへにゃへにゃとひざから崩れ落ちた。
周りからは
「いいぞ須藤!」
「純、かっこいい!!」
という声が聞こえる。
理央、わたしやったよ!
胸に手をあて、みんなのほうを向くと
俺はとびきりの笑顔を見せた。

