「……あたしたちをたぶらかしてた、翔太も悪いんじゃない?」 「ナ、ナツ……」 翔太は瞳を伏せる。 この車両にはあたしたちしかいない。言いたい放題だ。 「あたしのこと、心配してくれてありがとう。嬉しいよ。でもさ、やっと見つけたあたしの楽しみを奪わないでくれるかな? あたし、あのひとが好きなの。もうあなたのことは好きじゃない。いい思い出だよ。あのときは楽しかった。 しょうちゃん、いい思い出をありがとう」