あぁ、愛しの執事様

それでも目で追っている自分。

冷たい瞳だったけどカッコイい。

隣で完璧な『王子』が居るから、霞んで見えるものの確かに顔は良かった。

むしろ私にとっては『王子』よりも『執事様』の方がタイプ。

まぁ、顔だけは。

先程の事が無かったかのように流れて行く人たちの波。

時計を見るともうすぐ予鈴のなる時間だった。

「早く行かなきゃ」

足早に歩く佐衣の後を追うかの様に私も動き出した。

そして、心の中でも何かが動き出していた。