あぁ、愛しの執事様

固まったまま動こうとしない私に『執事様』は、不機嫌そうな表情をさらに歪ませる。

「君のクラスの担任って鈴木先生?」

不意の質問に言葉が出なくて、首を縦に動かすだけの私。

『執事様』は、大きなため息をつく。

「それじゃあ、仕方がないよな」自分を納得させるかのように呟いて『執事様』は、チラリと私を見た。

真っ黒の瞳と再び視線が交わってドキッとしてしまう。

やっぱり、この人カッコイい…

「とりあえずそこの一番後ろに座って」

見入ってしまっている私の様子などお構いなし。

スッと長くてキレイな指で方向を指し示した『執事様』は、すぐさま私に背を向けた。