悪魔なのは…

そこへ、ラグノが戻ってきた。その手に何かを持っていた。

眼鏡と、黒色のバッジのようなものだった。


「はい、これ三雲の分な」

「えっと、これは?」

「通信機器と、眼鏡は分かるだろ?」

「俺、そんなに目悪くないですけど…」

「まぁ、後で分かるって。とりあえず、このバッジは襟にでも付けとけ」

「はぁ…」


半ば押し付けるように渡され、達輝はそれらの品を受け取った。

眼鏡は掛けずに、胸ポケットに仕舞い、丸いバッジは襟に付けた。
手にすると、バッジの枠の部分にダイヤルがあった。ラジオでいうところのチャンネル合わせ、みたいな雰囲気がある。通信機器、と言っていたので、あながち、間違いではないだろう。


「それで、一体俺は何処に行くんですか?」

「現場だよ」

「現場?」

「そう。DCPの、ね」

「…まさか…」

「そのまさかだよ」

「ほら、百聞は一見にしかず、つーだろ?」

「というわけで、ほら行くよ」

「マジかよ…」


思わず呟いた。

まさか、突然同行させられるとは思ってもみなかった。
そもそも霊感なんていうものは存在しないため、そんな悪霊が見えるとも思わない。

一体、その時にどういう反応を示せばいいのか…達輝は、頭を抱えたくなった。