悪魔なのは…

驚いているのは達輝だけで、他の人たちは平然としていた。


「うん、これで契約は完了した。改めて、よろしくな、三雲くん」

「は、はぁ…あの、今のって…」

「まぁ、驚くよね。さて、これから本格的な説明に入ることになる。長くなるから、先に飲み物出そっか。コーヒーで構わない?」

「は、はい、大丈夫です」


何処かのほほんとした様子のラルクに、達輝は何故だか落ち着いてきた。

紙が光るなんて、あり得ないことだけれども、ここに来た時から技術力の高さは見て来ている。
きっと、この現象も新しい技術なのだろう。

…そうに違いない。

ゆっくりと息を吐いて、気持ちを落ち着かせた。


コーヒーの良い匂いがしてきた。
目の前に置かれたコップやお皿も、何処か高級感を感じさせられた。


「さて、飲み物の用意が出来たところで、話を進めよう。先ず、三雲くん、看板に書かれていた文字は見た?」

「えぇ、確か…DCPと書かれていたかと。何の略称かは分かりませんが」

「正解。そして、その正式名称は」

「Demon Center Police」

「訳すと、悪魔中央警察」


ラルクとラグノがテンポ良く交互に喋り、頭にスッと入ってきた。
けれど、処理が追い付かない。


「…悪魔?えーと、何の比喩なんですか?」

「比喩じゃねーよ、事実」

「…いや、それは、ちょっと…」


思わず達輝は苦笑いをした。

流石にその言葉をそのまま受け取れるほど、達輝は純粋でもなければ、信心深くもなかった。