悪魔なのは…

「…うん、納得してくれて良かった。さて、これで契約の前置きは終わったわけだけど、何か質問ある?」

「いえ、特には」

「そっか。それじゃ、気持ちに変化は?辞めるなら今だけど?」

「…いいえ、正直具体的な話はまだ聞けてないですが…」


チラッと一宮の方を見た。

…犯罪者を裁ける、それに心はやはり惹かれる。
心は、変わらない。


「俺は、特殊班に入りたいと思います」


真っ直ぐに、ラルクを見た。

その真摯な視線に、力強い瞳に…ラルクはゆっくりと頷いた。


「うん、良い目だ。分かった、それじゃ、この契約書の下のところに名前を書いて。そのあと、横に親指で判を…布巾はここにあるから」


用意されてたペンで、名前を書き始めた。
そして、朱肉に親指を当て、ギュッと紙に捺した。

…途端に、紙が光った。


「うわっ!」


思わず達輝は仰け反った。

だが、紙は相変わらず光っており、収まった、そう思った途端、その光が達輝の右手に向かってきた。
避ける間もなく、その光が手の甲を貫通した。
チクリ、と痛み、達輝は眉をしかめた。


光が消え、達輝は自身の右手を見た。
だが、そこに目立った傷跡もなく、何が痛みを感じさせたのか、分からなかった。
手をグーパーさせ、動かしてみるが、特に変わった点はなく、痛みも既になかった。