悪魔なのは…

「だからこそ、ここの班員の選任は私が個人的に選んでいるんだよ。その者の考えや思想を元に、色々考慮をしてね。もちろん、辞めるのは自由だ。止める者はいない。ただし、その内容は決して外に洩らしていけない。そう、思ってくれればいいさ」

「なるほど…」


気に入らなければ辞めることは可能。
ただし、世間に洩らすことは不可能。

…そういうわけだ。

つまり、止めたい時は世間の力を借りられない、というだけで、自力で何とかすればいいのだろう。

達輝は、そう解釈し、一つ頷いた。


「うん、じゃあ三雲くんが納得したところで、話を次に進めようか。これは基本的なことではあるけど、報連相をしっかり行うこと」

「…はぁ」

「うん、まぁ一応組織で動いてるからね、それは必ず頼むよ」

「それは、はい、必ずします」


何だか急に普通になり、少し拍子抜けをした。
そんな達輝を見透かすように、ラルクは肩を竦めた。


「何でそれを契約の内に入れてるか、って言うとね、命のやり取りをする場面も少なからずあるからだよ。警察官なら分かるだろ?」

「…はい」

「誰かの不注意によって、誰かが怪我をしたり、最悪命を落とすことになる。そんな事態を避けたいし、特に俺たちの所長はそれを嫌う。絶対に許さない」

「そうですね、俺もそんな事態は避けたいですから。分かりました、肝に命じます」


姿勢を正して、きちんと約束をした達輝に、ラルクは微笑んだ。