道場の真ん中には、鉄骨が置いてあった。

建物の骨組みなどに使用されるH鋼という奴だ。

重さは70キロはあるだろうか。

鬼龍は勿論、瑠璃自身よりも遥かに重い。

そういえば今朝方、どこかの工事現場から瑠璃がこのH鋼を担いで持ち込んでいるのを見かけた。

斬鉄の修行に使うこのH鋼を運び込むのも修行の一環だそうだ。

瑠璃は朝から、ひたすらにこのH鋼に斬撃を打ち込み続けている。

漠然と打ち込むのではなく、精神を尖らせて、或いは緊張した全身の筋肉を弛緩させて、素早く、時には緩やかに、様々な方法を試している。

どうすれば刀で鉄が斬れるのか。

自分なりに試し続けているのだ。