「善さんも、参加していたんですか?」

縁側に腰掛けていためのうが訊ねる。

「ええ、当時在学中の僕には…その…い、意中の女性がいまして…」

生真面目な善の顔が、微かに赤らむ。

「へぇ!初耳です!善さんにそんな女(ひと)がいたんですか?隅に置けないんですね」

嬉しそうにはしゃくめのう。

やはり女の子、こういう話は興味がある。

「そ、その女性とクリスマスイヴを過ごしたくて、クリスマステロには必ず参加していたものです」

コホン、と咳払いして話す善。

「どんな女性だったのですか?善師匠の想い人は」

真っ直ぐな眼差しを向ける瑠璃に。

「橘邸のお嬢様で…とても愛らしい方です」

善は現在進行形で語った。