黒爪は職業兇手、いわばプロの人殺しだ。

これまで両手の指では足りぬほどに殺してきた。

彼の両手は血に濡れた蟷螂の鎌。

その鎌で斬れぬものなどない。

黒爪は一気に間合いを詰め、視野の外からの腰部への掌打、足払いへと繋ぎ敵を倒…そうとして。

「これが蟷螂腰斬か」

腰部への掌打が全く通じていない事に驚愕する。

足払いなど、打ち込んでも微動だにしない。

「夕城の剣客の強靭な足腰、そんな足蹴りではビクともしない」

ならばとばかりに、黒爪は瑠璃の顔面狙いで拳を繰り出す!

これを鞘内に納めたままの愛刀で防ごうとする瑠璃に対し、蟷螂手で相手の腕を巻き込み、引き回して瑠璃の体勢を崩そうとする。

蟷螂拳の看板、代名詞ともいえるカマキリがセミを捕らえる形の蟷螂捕蝉式!