その言葉で、翡翠は違和感に気付く。

何だコイツは。

コイツは…丹下 龍太郎ではない。

姿形こそ龍太郎、声色も龍太郎のそれだが、喋っているのは龍太郎本人ではない。

すぐに翡翠は察しがつく。

「貴様…臥龍か?」

「ご名答」

龍太郎の姿形のまま、臥龍は一升瓶のまま酒を呷る。

…丹下 龍太郎の身の内には、遥か昔に天神の地で猛威を振るった龍が封じられている。

生前結界使いだった当時幽霊の小岩井、お初、そして佐倉の眷属総出でようやく封じられたその龍は、脈々と受け継がれた丹下の血筋…龍太郎の代になって覚醒したのである。