ギロリと。

翡翠は龍太郎を邪眼で睨む。

この男は元々、目上の者に対する礼儀がなっていない。

だが学生の頃でも、ここまで非礼な物言いはしなかった。

翡翠をお前呼ばわりしたり、ましてや呼び捨てにするような真似はしなかった。

翡翠の視線に気付いたのか。

「何だ翡翠…」

龍太郎は薄く笑む。

「小生意気な結界使いの小僧や佐倉の眷属ども、お初の奴と違い、いけ好かん天神の奴らでもお前は度量のある方だと思っていたんだがな…これしきで怒るのか?」