「別に不思議な事じゃない」

スラリと真剣を抜き放った瑠璃が言う。

「侍たるもの、いつ何時、如何なる状況においても背中を見せてはならない。挑まれた勝負は真っ向から受け、決闘相手に敬意を表しつつ、全力を以ってこれに当たらなければならない」

流石、生真面目な善の教えを受けているだけの事はある。

歳若いながら一人前の侍。

「同感だ」

腰のホルスターに愛銃のマテバを収めたまま、霸龍闘は構える。

腰を落とし、ホルスター付近に開手の状態で右手を下げる早撃ち(クイック&ドロウ)の構えだ。

「アメリカの西部開拓時代(南北戦争前後から20世紀初頭頃まで)、ガンマンは己の意地とプライドを賭けて、一対一の決闘に臨んでいた。銃器に熟練した保安官やカウボーイそして流浪者達は、名の浄不浄にかかわらず、自分の腕前と愛銃だけを武器に戦ったんだ。フロンティアの消滅と共にガンマンは伝説化したけど…俺の父上も、そして俺も、ガンマンだと信じてる」