瑠璃一味のお戯れな学園生活

「もしかして、お見舞いに来て下さったんですか?」

秋桜が微笑む。

「または薙沢家ダンジョン攻略?ロトの鎧はここには無いよっ?」

秋桜の背中に隠れて向日葵が言うが、お前は黙ってろ。

野菊の妹達の手前、見舞いなんかじゃねーよっ!と意地を張る訳にもいかず、しかし認めてしまうと野菊が学校で言いふらしそうなので。

「これ、妹達に頼まれて」

とりあえずお菓子と中華粥だけ渡して、シンはさっさと帰ろうとする。

が。

「あっれぇ?君がシン君かなぁ?」

奥から、野菊によく似た女性が出てきた。

健康的な小麦色の肌をした、スラリとしたスレンダー美人。

母親の薙沢 雛菊(なぎさわ ひなぎく)だ。

「ほぇえ、フェイレイ君とリディルちんの息子さんかぁ、もうこんな大きな子がいるんだねぇ、まぁ野菊があの歳だから、別に不思議じゃないかぁ」

言いつつシンの手を取り、グイグイと二階の階段を上がっていく雛菊。

強引だ、そして有無を言わせない。

「え、や、ちょ、お、俺はこのまま帰らせて…」

「野菊ぅ、シン君がお見舞いに来たよぉ」

雛菊はシンを野菊の部屋にポイと放り込んで。

「後で紅茶とお菓子持って来るからねぇ」

そのままバタンとドアを閉めてしまう。