まぁそんなこんなで、シンにも春が来たのだなと生暖かい目で見ていたある日。

「あら、野菊さん?薙沢 野菊さーんっ」

新婚の上に可愛い子供まで授かって近頃ウキウキな、中等部の神楽改め鈴木 七星先生の英語の授業で、出欠をとっていた時の事。

「先生、野菊ちゃんは本日お休みです…」

リィが挙手して言う。

「あら、珍しいわね…元気な野菊ちゃんが学校休むなんて…」

出席簿に記入しながら、七星が呟く。

「ホント、珍しいアルな、野菊が休んだのは、中等部に入ってから記憶にないアル」

そういう鬼龍も、日頃の鍛え方が違うのか欠席しないが。

「本当、心配…確か風邪を引いたって聞いたけど…」

リィは言いつつ、シンの横顔を見る。

あーあ、思い詰めてる思い詰めてる。