「孔雀次期宗主、琴子さん」

久遠が正座したまま言う。

「久遠先輩、次期宗主なんてやめて下さい。僕は先輩よりもずっと年下なんですから」

「だけど剣客としては、僕の大先輩だよ。それに何れは琴月流を背負う存在だろう?孔雀次期宗主は」

真っ直ぐに孔雀を見ながら、久遠は言った。

彼の眼差しは、言葉以上の説得力がある。

久遠の真摯な姿勢には、相手も真摯にならざるを得なくなる。

結果、孔雀は久遠の呼び方を渋々了承した。