「と、とりっくおあとりぃとっ」

たどたどしく、瑠璃が言う。

外来語は基本的に苦手なのだが、これを言わねばお菓子がもらえないと聞いたので仕方なく。

別に甘菓子が欲しい訳ではない。

無理して英語で言っているのは、キョンシー衣装の鬼龍が持つ胡麻団子が目的だ。

「も、もうっ」

鬼龍、オデコに貼り付けたお札の下で頬を赤らめる。

「瑠璃、英語苦手なら無理しなくてもいいアル」

「しかし、はろうぃんではこう言わねばならんと…」

少し口籠る瑠璃に。

「瑠璃だったら、そんな事言わなくても幾らでもあげるアル…」

鬼龍は口元まで胡麻団子を寄せた。

「はいっ…あーん、アル」