「おれ、しるびー、よろすくっ!」

元気な挨拶をするシルヴィ。

「おれ、しるびぃっ、よろしゅくっ」

幼女は真似してケラケラ笑う。

幼女同士、早くも意気投合。

しかし賢い子咲花は、早くもここで気付く。

「しゅじゅきしゅじゅ…『すずき すず』かな?」

問い掛けると、コクンと頷く幼女。

…鈴木という名字自体、珍しいものではない。

佐藤と同じく、日本に数多い名字だ。

だが、それが天神学園に限定されると話は変わってくる。

キラキラネームが多い天神学園にあって、鈴木という姓を持つ者は一人しかいない。

「すずちゃん…お父さんは、どこかな?」

小刻みに震えつつ、質問する咲花。

お家って言ってくれ、お家って言ってくれとの願いも空しく。

「しょくいんしつ」

すずは、ニパッと天使の顔で悪魔の微笑みを浮かべた。