ドアを開けると。

「久遠っ!」

小刻みに震え、俯き加減の久遠が立っていた。

熱に浮かされているかのように、ほんのり顔が赤い。

体調が悪いのだろうか。

とりあえず長身の弟の背中を押して、部屋に入れる。

キッチンに向かって挽き立ての豆でコーヒーを淹れる。

まずは何か飲ませて落ち着かせて、事情を聞いて。

それから警察、学園の教師、念の為病院にも連絡した方がいいだろうか。

久遠の前にコーヒーカップを置くと。

「有り難う…姉さん…」

ほぅ…と。

久遠は深い溜息をついた。