それからしばらく、久遠は何か忙しそうだった。

孔雀の両親が顧問を務める夕城道場に出向いてみたり、高等部の1年のクラスに出向いてみたり、果ては中等部にまで行ってみたり。

何をしようとしていたのかは、実の所、奏多もよく知らない。

何か思い詰めていたようなので、姉として相談に乗ってあげようとしたら、また『競争丸(誤字)がどうのこうの』と難しい事を言い始めた。

恐らく、孔雀の使っている剣道の事を言っているのだろう。

そう言ったら、『剣道じゃない、剣術だ』と、またあーでもないこーでもないと熱っぽく語る。

年上として弟の悩みを聞いてやりたかったが、どうにも力になれそうになかった。

…しばらくして、久遠は天神学園の事務局に足を運ぶようになった。

夕城道場、高等部、中等部ときて、何故事務局なのか。

奏多にはまるで理解できない。