「と、とにかく部屋に入って!」

奏多の背中を押して、久遠は部屋に入れる。

とりあえず座らせて、冷蔵庫から冷たく冷えた麦茶を出し、グラスに注ぐ。

まずは何か飲ませて、落ち着かせて。

事情を聞かなければ。

その後はどうする?

警察と、学園の教師と…念の為病院にも連れて行った方がいいだろうか。

麦茶の入ったグラスを奏多の前に置くと。

「有り難う…久遠…」

ほぅ…と艶っぽい溜息をついて、奏多はグラスに口をつける。

まるで酔っているような口調だ。

が、その割にはアルコールの匂いはしない。

「姉さん…?」

恐る恐る語り掛ける久遠に。