瑠璃一味のお戯れな学園生活

ドアを開けると。

「……」

奏多は立っていた。

肩を落とし、左手に巾着袋をダラリとぶら下げ。

汗ばんだ顔で立っている。

疲弊し切った表情。

「姉さん、どうしたのっ?」

久遠は声を上げる。

誰かに絡まれた?

襲われた?

ま、まさか、最悪の事態に…?

そう考えもしたが、浴衣に乱れはないし、汚れている風でもない。

何よりその表情。

疲弊しているというよりは、火照っている…?

まるで心ここに在らずといった様子だ。