両手で柄を握り、しっかりと保持する。

小柄な琴子が片手で軽々と抜刀した酷奏丸だが、想像していたよりも重い。

これが、刀の重み。

もっと、羽根のように軽いのだと思っていた。

それに、独特の雰囲気がある。

背筋がシャンとするというか、一本筋が通るというか。

しばらくすると、妙な昂揚感に襲われる。

ちょっと、素振りしてみたくなる。

思うが儘に、刃を振りかざしてみたくなる。

試しに、何か斬ってみたくなる。

ザクリと、何か両断してみたい。

同じ斬るならば、巻き藁などより動くものがいい。

小動物でも斬ってみたい。

鮮血が飛び散る様が見たい。

同じ血を見るのならば、小動物より人間がいい。

袈裟斬りに、胴を切り裂いてみたい。

血の雨を降らせたい。

いや待てよ、血の雨もいいけど首を刎ねるのも悪くない。

一刀のもとに、首を刎ねて頭を宙に舞わせ「ストップですの」