その証拠に、当人達を見ろ。

「へぇ、そんな美人さんが出てるんですかぁ、僕も見てみたいなぁ」

「そ、そうだよねぇ…見てみたいよねえ、母様…」

奥方はともかく、めのうには明らかに動揺が見て取れる。

まさかこんな席で、秘密のアルバイトの話題に触れられるとは思っていなかったのだろう。

それでも柔和な微笑みを崩さない辺り、流石は夕城の奥方だが。

(にしても…)

龍之介は考える。

あのCMを見た者達は、口を揃えて『あの女の子可愛いよねぇ』と言う。

やはり客観的に見ても、めのうは別嬪だという事だ。

自分の審美眼が正しかった事もさる事ながら、惚れた女が他人様にも誉められるというのは、悪くない気分だ。

下手をすれば全国ネットで流れているCMに出てんのが、俺の女だぜ?なんて言いたい気分だろうか。

一人鼻高々な龍之介。