瑠璃一味のお戯れな学園生活

身分違い。

まさか瑠璃の口から、そんな言葉が出ようとは。

夕城の次期宗主だ。

武人として、侍として、これ以上の肩書きが他にあろうか。

なのに、一般家庭の娘に過ぎない鬼龍を捕まえて、身分違いなどと…。

「そ、そんな事ないアル!身分違いなんて!」

折角綺麗に皺を伸ばしかけたテーブルクロスをクシャクシャに握り締めて、鬼龍は言う。

「そんな事、瑠璃が気にする事ないアル!私は瑠璃に比べたら只の小娘アル!年下だし、女らしくないし、家柄もよくないし、瑠璃が身分を気にするような女じゃないアル!」

「ならば」

グイと。

テーブルクロスの端を引っ張る瑠璃。

男女の差があるとはいえ、こんなに腕力の差があったのかと。

鬼龍が驚くほど簡単に、彼女はテーブルの向こう側の瑠璃の方へと引き寄せられた。