瑠璃一味のお戯れな学園生活

何とか立ち上がったシンは、アストレイアを一刀に戻した。

体が鉛のように重い。

持ち前のスピードも、随分殺されている筈だ。

この世界のボクシングという武術も、ボディ狙いはノックアウトではなく、足を殺す為だと聞いた事がある。

スピード勝負では不利か…。

迷わず。

「ウィスプ!」

シンは光の精霊を召喚し、己の身の内に入り込ませる。

「一回戦で見せた、あの超何とか人もどきアルか」

鬼龍が構え直す。

見てくれだけ真似た技のように思えるが、実は脅威であるのは鬼龍も理解していた。

中国拳法には、象形拳というものがある。

それぞれ動物を模した拳法で、蛇拳、猿拳などというのは武術に詳しくない者でも聞いた事があるだろう。

極めれば、それぞれの動物が憑依したかのような動きを見せるという象形拳。

思い込みであれ、実際の憑依であれ、『何かが乗り移る』というのは、時に絶大な力を発揮する。

肉体と精神は、決して別物ではないのだ。