瑠璃一味のお戯れな学園生活

「高速詠唱…」

狐に摘ままれたような顔の鬼龍に、リィが説明する。

「神代の言葉を使った詠唱によって、詠唱の速度を上げる…究極は詠唱無しで精霊を召喚する『無詠唱』だけど…まだそこまでは習得できなかったから…」

神代の言葉を使った詠唱は、元々リィの故郷の技法ではない。

切っ掛けは、拓斗とペインの披露宴の時だった。

同じ術者としてペインと何度か話をしたリィは、ペインの母方の家系…異世界からやってきたデッドゲイト家に伝わるその技法の存在を知った。

本来、家系の魔術を他者に知られるというのは死活問題。

お家断絶にまで繋がりかねない。

故にペインは暈した説明しかしなかったが、リィは独学でこのデッドゲイトの高速詠唱を習得した。

「多分デッドゲイトのオリジナルとは色々違うんだろうけど…鬼龍ちゃんの硬気功の調息よりは、上回る速さで精霊召喚できる…」