抜刀と同時に繰り出される、降り注ぐ雨をも捉える閃き!

金色の光を纏ったシンが如何に速かろうと、気配無き雨粒を斬る斬鉄が、捉えられぬ筈はない!

(躱せない!)

瞬時に判断したシンは、防御に切り替える。

乱れ打たれる斬鉄を、ウィスプの防御力で防ぐ!

人智を超えた精霊の力でさえ、無傷ではいられない。

刻まれる刀傷。

凌ぎ切ったと顔を上げると。

「!?」

孔雀は既に、舞うような動きで床を蹴っていた。

見惚れる。

優美な舞踏と共に繰り出されるのは、残酷なまでの鋭利な太刀筋!

「艶麗孔雀(えんれいくじゃく)」

一気に間合いを詰めてトドメを刺す剣撃!

シンはアストレイアで、その太刀筋を僅かに逸らす!

「無駄だよ!艶麗孔雀は捌け…」

言いかけて。

ドスッ、と。

孔雀の薄い胸板を貫く感触。

艶麗孔雀を捌いている筈のアストレイアが、孔雀の胸に刺さっていた。

「アストレイアは分解可変式…二刀はお前だけじゃないんだぜ」

シンから金色の光が消える頃、全てを出し切った孔雀もまた、儚く光が消えるようにリングに倒れ伏す。