瑠璃一味のお戯れな学園生活

紅月…紅月…。

ハテナ?

野菊は顎に人差し指を当てる。

どこかで聞いたような名字だ。

父か母が、昔そんな名字を口にしていたような。

「ま、いいや」

アホの子野菊は難しい事は数秒で忘れ、すぐに話題を切り替える。

「見ない子だねぇ、転校生?」

「あ、いえ…」

遠慮がちに咲花は言う。

「本当は初等部の4年なんですけど…中等部や高等部には大きな花壇のある中庭があって…どうしても見に行きたくて、時々こうしてお邪魔してるんです…ごめんなさい、勝手に入って…」