「言われんでも」

龍之介はその場で倒立し。

「そうするさっ!」

回転して身体を反らすようにして、ダウンしたままの瑠璃を踵で蹴る!

カポエイラの技、ヘヴェル・サオン!

振り下ろされた踵は。

「っっ!」

咄嗟に起き上がった瑠璃によって回避された。

「何たる不覚…父上に不甲斐ない姿を…」

「何が父上に、だ」

龍之介は腕を組む。

「てめぇは親父の為に戦ってんのか」

「……」

顔を上げる瑠璃。

「てめぇが剣術やってんのは、父親の期待に応える為か。父親が期待しなくなったら、刀を置くのか」

下らねぇと。

龍之介は一笑に付す。

「俺は違うな。俺は生まれついての臥龍だ。誰にも指図されねぇ。闘争本能の赴くままに戦う。俺が臥龍じゃなかろうと、丹下の名を借り受けてなかろうと、俺はやりてぇから戦い続ける」