その一人にして、やがては翡翠の跡を継ぐ男が、龍之介の目の前にいる。
夕城 瑠璃。
夕城流次期宗主となる男。
携えた愛刀・柊を鞘に納めて左手に握り締めたまま、瑠璃は視線を動かさない。
真っ直ぐ、龍之介へ。
龍之介もまた、その眼光を正面から受け止める。
「共に悔いを残さず、遺恨を残さず、全力で戦う事。いいな?」
「……」
「……」
「おい貴様ら、聞いているのかっ?」
審判の龍娘の試合前の諸注意も、この二人の耳には届かない。
既に『入り込んでしまっている』。
「全くもう…」
何を言っても無駄らしい。
龍娘は右手を高々と掲げ。
「それでは勝負…はじめっ!」
その火蓋を切って落とした!
夕城 瑠璃。
夕城流次期宗主となる男。
携えた愛刀・柊を鞘に納めて左手に握り締めたまま、瑠璃は視線を動かさない。
真っ直ぐ、龍之介へ。
龍之介もまた、その眼光を正面から受け止める。
「共に悔いを残さず、遺恨を残さず、全力で戦う事。いいな?」
「……」
「……」
「おい貴様ら、聞いているのかっ?」
審判の龍娘の試合前の諸注意も、この二人の耳には届かない。
既に『入り込んでしまっている』。
「全くもう…」
何を言っても無駄らしい。
龍娘は右手を高々と掲げ。
「それでは勝負…はじめっ!」
その火蓋を切って落とした!


