瑠璃一味のお戯れな学園生活

「お願いがあるの…」

コートニーは年若い奇蹟の住人達に、頭を下げる。

「ジャックは忌まわしい記憶を一度取り戻し、また悲劇を繰り返す所だったの…ようやく全てを忘れて、平穏を取り戻したの…彼を…」

「わかったよ」

コートニーの言葉尻を拾って、シンが頷く。

「もうアイツにチョッカイは出さねぇ…アイツが何を訊いてきても、答えない事にする」

「そうですね…」

咲花も俯いた。

「悲しいです…人狼である事を、堂々と公言できない世界…自分の本来の姿を、負い目に感じて生きなきゃいけない世界…知る事で、不幸になる世界…」

だからといって、ジャックやコートニーが天神に来れば幸せかというと、そうではない。

彼らは第二第三の天神の地を作り上げるべく、この街の仲間達と共に歯を食い縛らなければならないのだ。

他の地で、同じように自分の本性を知って苦しんでいる者達の為に、楽園を増やさなければならない。

シンやリィがその秘密を知りに天神学園に来たように。

フェイレイ達が人と魔族の和平を目指し、今も故郷で尽力しているように。