瑠璃一味のお戯れな学園生活

尤も当時はジャックに呼び名などなく、ただ『化け物』と呼称されていた。

吸血も狼化もしない、太陽の光にも銀の弾丸にも強い。

人狼の恐ろしく高い生命力と、吸血鬼の高い不死性を併せ持つ。

ある意味『いいとこ取り』の存在だった。

だが、そもそも根本的に種の違うもの同士を錬金術で強引に交配させた存在。

当然その歪みは生じる。

理性と自我は崩壊し、まるで気狂いでも起こしたかのような精神状態。

高い戦闘能力と引き替えに、その化け物は火葬機関の命令を全く聞き入れなかった。

それでも、吸血鬼を駆逐するのに命令を理解する頭なんて必要なかった。

必要なのは吸血鬼をも凌駕する殺傷能力。

かくして、高い戦闘能力を持つ化け物は夜の倫敦市に放たれた。

当時、聖堂騎士団さえ手を焼いていた吸血鬼の首魁に牙を剥く。

吸血鬼を根絶やしにされてたまるものかと、手当たり次第に人間を吸血した首魁だったが、化け物は倫敦市内を火の海に変えながらもその首魁の息の根を止める。

それが400年前。

倫敦大火は、その時のジャックと吸血鬼首魁の戦いの結果、発生したのだ。