ガシガシと頭を掻きながら。

「おい」

シンは野菊のそばに歩み寄る。

「一人じゃねぇよ、こいつは俺の彼女だ」

キープだけどな、と小声で付け加える。

「ゲッ!リィシン=グリフィノー!」

「勇者じゃねぇか!何でこんなとこに!」

「最悪だ!勇者の女に手ぇ出しちまった!」

最近はシンの武勇伝も、天神地区に轟いているらしい。

赤髪のチビといえば勇者、という噂が広まっているのだ。

「誰が赤髪のチビだ」

シン、ご立腹。

「それにまだ勇者じゃねぇ、せいぜい仮免だ。悔しいけどな」