天神稲荷前。

「おっせえぇえぇぇぇよ瑠璃っっっっっ!」

腕組みして霸龍闘が吠える。

「気合が足りねぇんじゃねぇのかっっっ?こんなんじゃ屋台の品物売り切れちまうぞっっっっっ?」

まだどこの屋台も仕込み中やがな。

「霸龍闘は気合入り過ぎ…もうちょっと落ち着いて…」

どうどう、と馬を落ち着かせるように弁髪を引っ張るリィ。

「あ」

こはくが龍之介と鬼龍の姿を見て表情を輝かせる。

「龍之介さんも鬼龍ちゃんも、浴衣着て来てくれたんですね」

「おぅよ、なかなか粋で往なせな浴衣じゃねぇか、気に入ったぜ奥方」

ニヒッと笑う龍之介に。

「貴様如き普段着で充分なのだ。風流を解さぬ野良犬に、このような上等な仕立ての浴衣など勿体無い」

仏頂面で呟く翡翠。

「ぬんだとこのヤラァ、上から目線で物言ってんじゃねぇぞ旦那」

「上から目線ではない、『上』なのだ、歳も実力も格もな」

「闘ってみなきゃわかんねぇだろうが、んなこたぁよぉ、あ゛ぁ?」

「闘らんでもわかるわ、この野良犬め」

最近龍太郎はそこそこ認めているものの、龍之介は絶対に認めてやらない翡翠。

まぁめのうの唇を奪った男だからね。

奥義100回かましても尚余りあるに違いない。