《ちょおっと沁みたらごめんなさいねぇ》

葉っぱの冠を被った少女が言う。

風の精霊シルフの回復魔法によって、野菊の顔の腫れは見る見るうちに治っていった。

もう痣一つ残っていない。

「大丈夫…いつもの野菊ちゃん…」

「ホントだ…痛くなくなった」

リィの言葉で、野菊は頬を撫でる。

「ああ、全然傷なんてわかんなくなったぜ」

シンが笑う。

「ホントに?」

ジ…とシンを見つめる野菊。

「ああ、ホント」

「安心させようと思って、嘘ついてない?」

「ついてない」

「じゃあいつも通りの顔?」

「いつも通り」

「可愛い?」

「えっ?」

可愛いかどうかは、傷とは関係ないだろうと思うシンだが。

「やっぱり傷が残ってるんだ…」

野菊の表情が一気に翳る。

「そ、そんな事ねぇよっ」

シンは頬を掻きながら。

「か、可愛いよ…いつもの野菊だ」

目を逸らして呟いた。