瑠璃一味のお戯れな学園生活

身構えるシンとリィ。

アストレイアとヴィオラ、クローリスを、廃屋の壁の方に向ける。

いざとなれば、二人は壁を破壊して穴を開けるつもりでいた。

逃走経路を作る事も勿論だが、夜明けを待つ為。

太陽の光は、吸血鬼となった黒爪の最大の弱点だ。

もう梅雨も明け、夏真っ盛り。

強い日差しは、黒爪を倒す最大の武器になる。

それ故に。

「もうやらんよ」

氷柱と蔦の牢獄を、強引に引き千切る黒爪。

《ああっ、私の氷柱をっ!》

《あぅうぅっ、頑張ったのにぃっ》

フラウとドリアードが声を上げる。

「このまま続けても分が悪い。また次の策が練れるまで、お前達には仕掛けない事にしよう」