《むっかつくわねぇ、コイツぅっ!》

槍のようにも見える氷柱を、無数に撃ち放つフラウ。

《す、少しジッとしていて下さいっ》

木の床板を利用して、黒爪の足元から蔦を生やすドリアード。

氷柱で周囲を囲い、蔦で雁字搦めにする。

それは精霊達の、即席の牢獄であった。

「悪い事をした奴は、罪を悔いるまで閉じ込める…俺達の生まれ育った世界でも、この世界でも同じだ」

シンはアストレイアを鞘に納めながら言う。

「勇者は皆を護る。だけど裁くのは勇者の役目じゃない。俺の仕事は悪い奴をやっつけて、皆をお前みたいな悪党から護る事だけだ」