スポーツ万能な野菊と咲花とて、無限に体力が続く訳ではない。

走り続けた拍子に。

「あっ!」

咲花が足を縺れさせて転んだ。

薄く埃の積もった廊下に、うつ伏せに転倒してしまう。

「咲花ちん!」

前を走っていた野菊が立ち止まり、咲花の所に戻ってくる。

「咲花ちん大丈夫っ?しっかりして!」

「野菊先輩…」

「早く!立つの!立って逃げるのっ!」

今度は野菊が咲花を無理矢理に引っ張り起こそうとするが。

「っっ…!」

そんな二人に覆い被さるような、黒い影。

「!!!!!」

歩いていた筈なのに、黒爪はいつの間にか、二人の目前にまで近づいていた。