振り向かず、ただただ走る。

長い廊下を、階段を。

こんなに広かったのかというくらいに、廃屋は廊下がどこまでも続いていた。

そしてその廊下を、黒爪は何処までも追いかけてくる。

どんなに距離を離されても、ずっと笑いながら、歩いて追いかけてくる。

どこまで逃げても無駄なのだと言わんばかりに。

その焦りのなさが絶望的だった。

逃げども逃げども逃げきれない。

そんな事実を思い知らされているようで。

泣き出しそうになる。

恐ろしさで頭が変になりそうになる。