『私達も』

その発言から分かる通り、咲花は既にシルヴィが犠牲になったと思い込んでいる。

そして野菊もまた。

ただ、排水口に絡まった碧の髪の毛を見ただけなのに。

それが本当にシルヴィの髪の毛かどうかも分からないのに。

恐怖と疑心暗鬼から、最悪のシナリオを自分自身で描いてしまっている。

そのシナリオの主人公を自分に据えて、立ち上がれないほどに恐怖してしまっている。

「早くっ!早くしないとっ!」

乱暴なくらいに野菊の手を引っ張る咲花。

「ま、待って咲花ちんっ…足が…足が言う事聞かなくて…っ」