絶望に打ちひしがれる野菊と咲花。

そんな彼女達に追い打ちをかけるように。

「!?」

足音がした。

シルヴィのような軽い足音ではない。

ゴツ、ゴツという、革靴が床板を踏みしめるような足音。

成人男性の足音だ。

ゆっくり、ゆっくりと廊下を歩き、こちらに近づいてくる。

「の、野菊先輩っ…」

咲花が野菊の手を引っ張る。

「にげっ…逃げなきゃ…逃げなきゃ私達も殺されちゃうっ…!」