瑠璃一味のお戯れな学園生活

「も、もう!シルヴィちん怒るよっ?」

野菊はわざと大きな声を上げ、ドタドタと足音を立てて扉の方に歩いて行く。

静まり返った空間に恐怖を感じる時、人間はわざと音を立てるものだ。

何もかもを飲み込むような静寂が恐ろしいから。

「かくれんぼなら帰ってやろうよシルヴィちん、こんなとこでかくれんぼしてたら、シン君達に叱られちゃうんだから」

野菊は片時も黙らない。

黙っていられない。

「ほら、見ぃつけたっ!」

ここにシルヴィがいるのが当然。

さっさと見つけてここを出よう。

そんな焦りにも似た気持ちで扉を開けるものの。

「……」

そこにシルヴィはいなかった。