「この中に入っちゃったの?」

「はい…入っていくとこ見ましたから…」

野菊と咲花は困惑したように顔を見合わせる。

好奇心旺盛なシルヴィにも困ったものだが…何だろう。

咲花はシルヴィに違和感を感じていた。

いつもの元気な彼女らしくない。

まるで操られていたような、誘い込まれていたような。

そんな妖術魔術の類を、聞いた事がある。

確か、魅了(チャーム)といったか…。

「追いかけるしかないねぇ…」

細身の野菊や咲花なら、この通風孔からでも入って行けるか。

四つん這いになって潜り込む野菊に。

「待って下さい」

咲花はスマホを取り出す。

「先に…シン先輩やリィ先輩に連絡を入れておきます」