ペインの突飛な行動で幾らか場が和んだのか。

茶を運んできた使用人達も、その態度には多少親しみが感じられた。

実は多少の不安もあったのだ。

拓斗のもとに嫁いできたのは、あの天神の大地主・喜屋武家。

当主の忠邦の名はよく知っていたし、家柄も申し分はあるまい。

だが忠邦の妻、ドール。

聞く所によると『この世界』の人間ではないとか、妖しげな術を使うとか、その娘であるペインにもそのような魔術が使えるとか。

更紗はともかく、使用人達の中には、喜屋武家の人間に差別的な感情ではないにせよ、やや恐れのようなものもあったのだ。

しかし、こうしてやって来たのは、頼りなささえ感じさせるような普通の人間。

自分達と何ら変わりのない、普通の女性だった。