それで、と。

更紗の視線がペインに向けられた。

「も、申し遅れましたっ」

ペインは声を掠れさせる。

「こ、この度拓斗さん…い、いえ橘家に嫁いで参りました、喜屋武家より参りましたっ、ペインと申しますっ」

勢いよく頭を下げたものだから、畳に額をぶつけるペイン。

顔を上げた時には眼鏡がややズレ、額に畳の痕がついていた。

思わず拓斗が、そんなに緊張しなくても、とツッコむほどの狼狽ぶりだ。

それを見て。

「ふふっ…ふふふふふふっ」

更紗は顔を綻ばせる。

「見た所拓斗さんよりもお姉さんのようだけど…可愛らしい人ですね。いいのですよ?そんなに緊張なさらなくても」