瑠璃一味のお戯れな学園生活

その頃、橘邸キッチン。

「あれ?」

拓斗がヒョイと顔を覗かせる。

「きや…ペインさん」

「あ、拓斗さん」

二人の女性が振り返る。

一人は喜屋武…拓斗の婚約者となったペイン、もう一人は橘家当主である橘 和音(たちばな かずね)の妻である水琴(みこと)。

そしてキッチンに漂うのは、スパイシーな香り。

「今夜はカレーですか?」

「シチューです」

水琴が答える。

「そ、そうですか…その鍋に入ってるのがそうですね?クリームシチューなんですね」

「ビーフシチューです…」

ペインが答える。

「そ、そうですか…」

何で白いんだろう、あのビーフシチュー…。

いや、最早語るまい。

ペインの傍らに水琴がいる。

それが全てだ。